投資銀行―日本に大変化が起こる

著者/訳者:Array

出版社:PHP研究所( 2006-05 )

定価:¥ 1,418

単行本 ( 262 ページ )

ISBN-10 : 4569649734

ISBN-13 : 9784569649733


投資銀行は汚くない。

本書では大きく2つのことを主張していると思う。

第一に、よく外資系の投資銀行は「ハゲタカ」とか「吸血鬼」と罵られる。イメージとしてはだまし討ちみたいな手口で他人の財産を奪っていくように思われているが、この本によると基本に忠実な投資を行っているだけだそうだ。

基本に忠実というのは、金融工学の入門書を読んだことのある人なら誰でも知っている適正株価の計算方法を実践し、割安だったら買いを入れることである。もちろん実際の業務ではもう少し複雑なことをしているが、基本は適正株価の計算を行うことだという。

適正な株価は将来お金をどれだけ稼ぎだすかを計算し、それの現在価値を求め、負債などを差し引いて株数で割るだけである。別に特殊な方法ではない。

第二に、バブルが崩壊したから株価が下がったというのは言い訳であるそうだ。例えばトヨタとかキヤノンはその間にも着実に企業の価値を高めてきた と言う。企業の価値ははっきり○○億円と具体的な数字で書けるそうだ。経営者として優秀な人は企業の価値を高めることのできる人であると言い切る。しかし 多くの企業の経営者はダメであったために、自分たちの無能さを環境のせいにして、どんどん企業の価値を毀損し、国家は人々の集合体であるから日本全体の経 済も悪くなったと指摘する。

これら二つに共通することは企業の価値についてである。投資銀行は価値を計算し投資を行う。経営者は自らの企業の価値を知り、それを高める努力をする。そういう視点が大事だと言いたいのだろう。

なお、あまり文章は上手くないと思う。内容はそれほど新鮮味がなかったが、奇をてらったことを書いているわけでもない点に好意を持てる。

目次:

第1章 実は一〇倍になってもよかった日本の株価
第2章 「買収」を演出する投資銀行
第3章 こんな会社が狙われる
第4章 シミュレーションあなたの会社が買収される日
第5章 日本の銀行は投資銀行になれない
第6章 投資銀行家の高い年収の背景にあるもの
第7章 人こそ全て—投資銀行が求める人材とは
第8章 投資銀行の仕事に学ぶ
第9章 投資銀行とどうつきあうか
第10章 KKR上陸で日本が変わる
特別編 投資銀行式「本当の株価」を見抜く方法